三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

ハングルの「三国誌」の話

三国志を好きになりはじめたばかりのある日のこと。 ふと図書館で「三国史記」なる本を見つけ、すわ三国志だと思って手に取ってみたら、三国は三国でもそれは朝鮮の三国史(新羅・高句麗・百済)だった―― という哀しき過去を我々は誰しもが抱えているわけで…

全訳出来!(予定)

こんにちは。 ここ最近、のっぴきならない理由で、汲古書院のホームページをちらちら覗いてはそわそわする日々を送っていたのですが、そこでついさっき、思わず声を上げてしまうくらいびっくりなことを見っけました。ほんとに「おぅわっ」って声が出ました(…

講演会「父・吉川英治と三国志」

最近自分の宣伝ばかりですけど、今日はちょっとまじめな宣伝をさせてください。 来週、9/14(土)の三国志学会で、吉川英治のご長男の英明さんに「父・吉川英治と三国志」というテーマでご講演していただくのです。 もちろん、あの『吉川三国志』の吉川英治の…

漫畫大三國

こいついっつも宣伝してんな。 おととい届いて思い出したんですけど、前に書いた『マンガでわかる三国志』が翻訳されてました。 しかも台湾でです。 いいですよね台湾。好きです台湾。 台湾では本屋さんで「おまえ日本人か?」って言って『ハイキュー』23巻…

箱崎みどり『愛と欲望の三国志』

僕もこれから読むので、なにかこう気の利いた宣伝なんかはできないのだけど、 ただとてもいい本なので、どうかぜひ読んでください。 愛と欲望の三国志 (講談社現代新書) 作者: 箱崎みどり 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/08/21 メディア: 新書 この商…

正しいなにかなんてない

しあさってから、上野の東京国立博物館で三国志展が始まりますね。 こう言ってはバチあたりなのだけど、僕が思っているよりはるかに、この展覧会は世間では大きな注目を集めているらしい。実際に見てはないけどばんばん広告出してるそうだし、書店では三国志…

袴田郁一/山本佳輝『マンガでわかる三国志』

ずっと続けていたはてなダイアリーがサービス終了してしまうということで、この記事からは新しく、はてなブログで書いています。慣れないなあ。 それではてなブログでの書き初めということで、思い出話から始めることをご勘弁ください。 2年ちょっとくらい…

吉川英治記念館閉館

いささか前のニュースになるけれど。 青梅市二俣尾にある吉川英治記念館が、今年度いっぱいで閉館することになった。・吉川英治記念館の平成30年度の開館について―草思堂から 吉川英治記念館学芸員日誌 http://yoshikawa.cocolog-nifty.com/soushido/2018/10…

諸葛亮はいつから東南の風を呼ばなくなったのだろうか

このあいだ『吉川三国志』の諸葛亮の論文を書いたとき、ひとつどうしてもわからないことがあった。 孔明は、それに対して、こういうことをいっている。 「むかし、若年の頃、異人に会うて、八門遁甲の天書で伝授されました。それには風伯雨師を祈る秘法が書…

『三国志研究』13号に論文と書評を書きました

とてもとても久しぶりに、吉川英治『三国志』について書いた。 今年の『三国志研究』13号に載っけてもらった、「大衆と伍す英雄 ―吉川英治『三国志』における諸葛亮像の形象」という論文です。 諸葛亮は、『吉川三国志』のなかでは曹操に並んで、いや曹操…

柿沼陽平『劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』』

このブログを見返してみると、あんまり僕は本のレビューとかをやってこなかったみたいなんだけど、でもやっぱりこの本についてはひとつ書いておかなきゃなって思う。 正直に言って、"あの"柿沼先生が書く三国志の本ってことで期待していたものとはまったくの…

『はじめて学ぶ中国思想』(ミネルヴァ書房)

好きだったブログやpixivが、そのうち更新頻度がさがり、すっかり告知をするためだけのものになってしまってガッカリした経験、よくあります。 管理人さんの環境の変化とか多忙とか、そういうのはよくわかります。でも正直ファックって気持ちも抑えられない…

「銅雀台(邦題:曹操暗殺 三国志外伝)」を観た

三国志だったらなんでもおもしろいおもしろい言う僕なんですけど、この「曹操暗殺」ばかりは...正直わかんなかったです。 時は建安二十四年暮れ。 滅亡間近の漢王朝を舞台に、董承の乱・伏皇后の乱・吉本の乱という3つの暗殺劇をモチーフにしたオリジナルス…

「関雲長(邦題:KAN-WOO 関羽 三国志英傑伝)」を観た

関羽を主人公に、『三国志演義』の一幕である「五関斬六将」をクローズアップしたアクション映画です。 面白かった。 いや「レッドクリフ」でも「三国之見龍卸甲」でも僕いっつも「面白かった」しか言ってないですけど、これも本当に面白かった。見どころが…

「三国之見龍卸甲(邦題:三国志)」を実況せんとす

(06.44)「常山はここだよ」と得意げに説明する羅平安の地図、常山が長江沿いにある。 ………。 まあ、それはそれとして趙雲たちが今いるのは青州らしいです。ってことは、今は官渡の戦いの直前かな?(08.17)羅平安の地図、ところどころにメモ書きがあるんで…

「レッドクリフ partⅡ」を実況せんとす

(5.24)partⅠのラストから引き続いてのサッカー蹴鞠。なんで蹴鞠? ところで僕、レッドクリフを見るまでこういう形式の蹴鞠があることを知りませんでした。今の日本でやってるあの蹴鞠を想像してたので。より古い時代にはこうして両チームでゴールを競い合…

「レッドクリフ partⅠ」を実況せんとす

(04.05)オープニングで映る宝剣。副音声で井戸田さんが「これ劉備が母親から貰った伝家の宝剣かと思った」と言ってます。先生が「それはマンガのことで演義にはないので、中国にはない話なので無理であります」と答え、「演義にはないんですか」と驚く井戸…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その5

第5話「三英傑、呂布と戦う」◆袁術 僕は正直、全体で言えばTKのキャスティングはちょっといまいちだなあと思ってます。こういったことにはまるで詳しくないのでこの感覚を具体的に言葉にはできないのですけど、たとえばレッドクリフの方が―制作規模的に比…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その4

第4話「関羽、華雄を斬る」◆関羽vs華雄 『演義』では、序盤きっての見せ場である関羽対華雄の一騎討ちを、あえて直接描写しないという手法がとられています。カメラを諸侯の本陣に据え置いたまま、陣太鼓の響きや鬨の声という音の効果によって関羽の勝利を…

私は、このマンガとは、一切関係ありません。偶然ここへ来て、書き込みしています

マンガでわかる三国志 (池田書店のマンガでわかるシリーズ)作者: 袴田郁一,渡邉義浩,山本佳輝,サイドランチ出版社/メーカー: 池田書店発売日: 2016/11/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 演義のあらすじを紹介するわかりやすいマンガパー…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その3

第3話「曹操、善人を誤殺す」◆呂伯奢事件 前話の終盤から本話の前半まで、かなり尺を取ってましたね。 呂伯奢事件は、曹操の生涯の4つの汚点のひとつであり、これをどう描き、どう説明するかが、曹操を主軸にする物語にとっての大きな課題だと思います*1。…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その2

第2話「曹操、亡命す」◆呂布と貂蝉の出会い 曹操が王允秘蔵の七星刀を使用したことから、董卓が王允を暗殺計画の黒幕かと疑う ⇒命を受けた呂布が王允邸に乗り込み、思いがけず貂蝉と出会う ⇒貂蝉は父の無罪を呂布に釈明 ⇒王允邸にちゃんと七星刀(実は偽物…

私は、この本とは、一切関係ありません。偶然ここへ来て、書き込みしています

中華思想の根源がわかる! 中国古代史入門 (歴史新書)作者: 渡邉義浩出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2016/11/02メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る 殷から唐まで、さまざまなジャンルを通じて古代中国の思想がわかりやすくまとめられている本…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その1

第1話「曹操、刀を献ず」◆黄巾の乱 ……がこのドラマではないんですね。「三国志」の幕開けといえば黄巾の乱ってイメージが完全に固定されてるんで、初めて知ったときはちょっと驚きました。 カットされた理由は何なんだったんでしょう? 尺の都合? それとも…

袁術の皇后

九州春秋曰、司隸馮方女、國色也。避亂揚州、術登城見而悦之、遂納焉、甚愛幸。諸婦害其寵、語之曰、將軍貴人有志節、當時時涕泣憂愁、必長見敬重。馮氏以為然、後見術輒垂涕、術以有心志、益哀之。諸婦人因共絞殺、懸之廁梁、術誠以為不得志而死、乃厚加殯…

華佗流鎮痛術

公袒下衣袍、伸臂令佗看視。佗曰、此乃弩箭所傷、其中有烏頭之藥、直透入骨。若不早治、此臂無用矣。公曰、用何物治之。佗曰、某自有治法。但恐君侯懼耳。公笑曰、吾視死如歸、有何懼哉。佗曰、當於靜處立一標柱、上釘大環、請君侯將臂穿於環中、以繩繫之、…

典韋の短戟

典韋の「双鉄戟」とは別の隠し武器、原作三国志演義だと短戟って書いてるけど、使用方法的には短刀っぽい。敵兵目がけて数十本投げてるし。立間先生の注釈だと短い槍、日本で言う手裏剣に近いって書かれてるね。ゴツい身体して手裏剣使えるとか悪来さん万能…

曹操の玄孫

さっき新漢籍全文を使っててたまたま見つけたやつです。 曹侯村 魏武帝玄孫曹叔良所居、今相公橋左王宅園是也。 ―『重修曹谿通志』卷一 山川形勢第一 古蹟 山初未有名、因魏武玄孫曹叔良避地居此、以姓名村。而水自東遶山、而西經村下、故稱曹溪。 ―『重修曹…

子を棄てて甥を助ける

訒攸字伯道、平陽襄陵人也。 ……永嘉末、沒于石勒。……石勒過泗水、攸乃斫壞車、以牛馬負妻子而逃。又遇賊、掠其牛馬、歩走、擔其兒及其弟子綏。度不能兩全、乃謂其妻曰、吾弟早亡、唯有一息。理不可絕、止應自棄我兒耳。幸而得存、我後當有子。妻泣而從之、乃…

曹操の娘と関羽の恋 【曹月娥】

「淮劇」(揚州一帯の地方劇)に『関公辞曹』という出し物がある。その内容はまた少し変わっていて、曹操の娘曹月娥が関羽に恋する悲劇である。関羽は曹操に助けられて一時曹操のもとに身を寄せたが、その恩を返したのち、別れを告げて許昌を離れる。それを知…