三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

演義の外伝作品

曹操の娘と関羽の恋 【曹月娥】

「淮劇」(揚州一帯の地方劇)に『関公辞曹』という出し物がある。その内容はまた少し変わっていて、曹操の娘曹月娥が関羽に恋する悲劇である。関羽は曹操に助けられて一時曹操のもとに身を寄せたが、その恩を返したのち、別れを告げて許昌を離れる。それを知…

日本最古、京都大興寺の関帝像について

*1 以前にブログに書いた京都大興寺の関帝像を、先日の三国志学会の折に見てきました。 通常は非公開なのだそうですが、NPO三国志フォーラムの清岡さんや教団さんがツアーを企画し、お寺さんとの交渉をしてくださったんで、スムーズに拝観できました。 それ…

『全相平話三國志』人物事典

去年のお正月、『三国志平話』に登場する全人物の紹介を書きました。 http://d.hatena.ne.jp/AkaNisin+z-s-h/ それがひょんなことから、今年の『三国志研究』九号に載してもらうことになりました。 袴田郁一「『全相平話三國志』人物事典」ってやつです。 し…

關聖帝君の䖝袍

旧暦6月24日は全世界的に――...異説もありますけど、関羽の誕生日です。 玄紱看其人、身長九尺、髯長二尺、面如重棗、脣若塗脂、丹鳳眼、臥蠶眉、相貌堂堂、威風凜凜。玄紱就邀他同坐、叩其姓名。其人曰、吾姓關、名羽、字壽長、後改雲長、河東解良人也。 …

関銀屏にまつわる略年表【暫定版】

情報提供お願いします! 1986.8 湖北省群衆芸術館が『三国外伝』を出版。 民間に伝わる三国志説話を収集したもので、雲南省曲靖県澄江で採録したという関三小姐説話も収録された。1990.8 上記の『三国外伝』を翻訳した、立間祥介ら訳『三国志外…

關帝信仰における周倉のはじまり

1909年、西夏国の遺跡カラホト(黒城)が発見された際に出土したという、金代の関羽画であります。『三国志演義』や『三国志平話』よりも古い、現存最古の関羽像と言われています。しかしながら関羽の鬚や青龍刀という、現在の関羽像に通じるアイテムが…

『三国志平話』登場人物の一覧

『三国志平話』は『三国志演義』の原型となった物語だとされています。 しかし比較してみるとなかなか面白い違いがいっぱいあって、特にその登場人物について、『三国志平話』でしか見られない人物がいたり、また『三国志』『三国志演義』にも登場するけど全…

国会図書館関西館 小展示「時空をかける三国志」

国立博物館に行ったその足で、今月8日、僕は国会図書館の関西館にて開催されていた展示「時空をかける三国志」を観に行きました。 国会図書館が所蔵する「三国志」を、一列に並べたというこの展示。殊に、普段あまり注目されることのない日本の「三国志」に…

劉璩の続柄をめぐって -劉理と劉淵

『続三国志』における劉淵こと劉璩は、こちらの家系図の通り劉禅の子となっています。 ところが『続三国志』の原書である酉陽野史『三国志後伝』を見ますと、「劉理の子」とされているのです。劉理とは、劉備の三男にして安平王に封じられた皇族です。 しか…

『通俗続三国志』卷三 あらすじ

明代、酉陽野史によって成立した『三国志後伝』は、『三国志演義』の後を継いで、西晋末から東晋初までの動乱期を描いた章回小説です。 そして江戸時代、これを翻訳した通俗小説『通俗続三国志』と『通俗続後三国志』がありました。 こちらではその『三国志…

『通俗続三国志』卷二 あらすじ

明代、酉陽野史によって成立した『三国志後伝』は、『三国志演義』の後を継いで、西晋末から東晋初までの動乱期を描いた章回小説です。 そして江戸時代、これを翻訳した通俗小説『通俗続三国志』と『通俗続後三国志』がありました。 こちらではその『三国志…

『通俗続三国志』、第一巻のストーリーについて

読んでいただくと分かる通り、第一巻はかなり時系列が前後しています。 ・司馬炎が統一を祝って宴する →王渾・王濬の軍が孫呉を下す →旧呉の遺臣と晋軍が戦う →蜀漢の滅亡と遺臣たちの亡命までが第一巻の大まかな流れになりますが、王渾王濬の件、蜀漢の遺臣…

『通俗続三国志』卷一 あらすじ

明代、酉陽野史によって成立した『三国志後伝』は、『三国志演義』の後を継いで、西晋末から東晋初までの動乱期を描いた章回小説です。 そして江戸時代、これを翻訳した通俗小説『通俗続三国志』*1と『通俗続後三国志』*2がありました。 こちらではその『三…

月刊『反三国志演義』、第五回

☆第五回 若き周瑜が水陸に曹兵を破り 背の低い張松が東西に蜀の領土を売ってまわる ※文庫版123ページ〜147ページ ○あらすじ 呉の内地にも曹操軍の動きがようやく伝わり、鄱陽よりついに周瑜が出陣する。緒戦以降は小康状態だった濡須が、周瑜の到来で…

週刊『反三国志演義』、第四回

☆第四回 旧憤を泄らして張繍が孫権に身を投じ 先声を挫いて甘寧が楽進を射る ※文庫版110ページ〜122ページ ○あらすじ 曹操は荀攸の進言に従い、荊州へは曹洪を派遣し、本命の江南攻めには自ら大軍を率いて出陣する。 さてこれより前、曹操に降った張繍…

週刊『反三国志演義』、第三回

☆第三回 他人の刀を借りんとして周郎が計を設け 虚を実となして曹操が兵を興す ※文庫版98ページ〜109ページ ○あらすじ 劉備が荊州を得た事に、曹操・孫権はそれぞれ懸念を抱く。特に孫権は、かねてから狙っていた荊州を横盗られた嫌悪と、江東にとって…

週刊『反三国志演義』、第二回

☆第二回 江東に闘って孫権が以前の仇に報い 荊州を譲って劉表が後々の患を憂う ※文庫版59ページ〜97ページ ○あらすじ 文武の名将が揃った劉備陣営、いよいよ今後の方策が諸葛亮によって掲げられる。天下三分の計である。劉備これを良しとし、こうして劉…

週刊『反三国志演義』、第一回

☆第一回 詐りの手紙を見抜いて水鏡先生が徐庶を引き止め、 徐庶の母を迎えんとして諸葛孔明が趙雲を派遣する ※文庫版22ページ〜58ページ ○あらすじ ―『反三国志』は『三国志演義』で第36回に相当する、徐庶が劉備の元を去る場面から始まる。 程碰は徐…

『反三国志』華歆と『三国志演義』李儒の最期

「今日の記事はいささか残酷な表現が含まれる」 「よってそれらが苦手な者は閲覧を控えた方がよい」 「仁者の風上におけん、まったくけしからん話だな」

関羽の娘で村おこし 【関銀屏】

関羽の三番目の娘。父親ゆずりの武勇を持ち、女性であるにもかかわらず、諸葛孔明の南蛮討伐に参加したと言われている豪傑。孫権の息子との縁談話が持ち上がったが、父関羽が「犬の子に虎の子はやれぬ!」と断り、蜀と呉の関係が悪化した。 「父上譲りのこの…

雑喉潤『三国志と日本人』

三国志と日本人 (講談社現代新書)作者: 雑喉潤出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/12メディア: 新書購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (7件) を見る近頃吉川々々と言ってましたら、ツイッターにて薦めていただいた一冊です。先日から挙げている…

『三国志平話』における蒋雄、ほか

全相三国志平話作者: 立間 祥介出版社/メーカー: 潮出版社発売日: 2011/03/17メディア: 大型本 クリック: 21回この商品を含むブログ (7件) を見る ついに出ましたね! コーエーから出されていた中川先生・二階堂先生の訳本が長らく絶版になっておりましたん…

陳式陳寿父子説

あるいは祖父とする話もありますが、とにかく三国志ファンには大変有名な説だと思います。ぼくも知らず知らずのうちに頭に入っていたんですけど、改めて考えるとこれは一体何を情報元にしていたのでしょうか。 とりあえずウィキペディア「陳式」の項目を引き…