三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

蒼天与太噺(二)



なんてことない1コマですがこの孫狼、架空の人物ではござらん。

建安二十三年,陸渾長張固被書調丁夫,當給漢中.百姓惡憚遠役,並懷擾擾.民孫狼等因興兵殺縣主簿,作為叛亂,縣邑殘破.固率將十餘吏卒,依昭住止,招集遺民,安復社稷狼等遂南附關羽.羽授印給兵,還為寇賊,到陸渾南長樂亭,自相約誓,言:「胡居士賢者也,一不得犯其部落.」『三国志』管寧伝附胡昭


オオカミとか(笑)、いかにも厨二くせぇ名前なのに史実なんですよ。
史書ではその後行方不明になる孫狼ですが、こんなとこで殺されてたんスねぇ。

ちなみにこの陸渾という地名、ちくま訳の関羽伝では「陸渾といった盗賊のうちには、はるかに関羽より印授をうけて」と擬人化されてしまっております。なんでじゃ。
ここの原文は「陸渾羣盗、或遥受羽印号」。
そして『集解』ではここに胡昭伝の陸渾民孫狼を注に引いています。
陸渾なる人物はちくまでもここにしか登場しませんし、陸渾の群盗とするのが自然なんじゃないでしょうか。