三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

第1回 「より深く理解するための「三国志」講座」

いや国会図書館行ってたっけ、
それで渡邉先生の論文読んだっけ、
もう気が付いたら爆睡さ。

寝坊した ァァアアア(゚Д゚)アアアァァ

工学院大学孔子学院開講講座
――より深く理解するための「三国志」講座
第一回「『三国志』とその時代」
平井徹(慶應義塾大学講師)



はい行って参りました。
いや渡邉先生悪くないです。とてもおもしろい論文だったんで、これもコピー頼まなきゃなーって思ったっけ、したら突然一時間ぐらい時間が飛んでて?、ほら国会図書館て六時になるとアナウンスするじゃないですか、「コピー終了のお知らせです(^Д^)9m」って。それで我に返って、
という訳で15分ばかり遅刻してしまいました・・・


さて講座の内容ですが、最初ということで三国志に関する基礎的な、『三国志』成立から『演義』に至るまでの簡単な流れと、あと現代での三国志ですね。大学の基礎科目でやるような感じの三国志でした。
講師の平井先生のプロフィールを公式のチラシより。

1972年生。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得修了。現在、慶應義塾大学非常勤講師。共著に『こころがなごむ漢詩フレーズ108選』(亜紀書房)のほか、『川本喜八郎』(平凡社『別冊太陽』)、横山光輝三国志』に三国志関係の解説を執筆。

講義の途中で触れられていましたが、あの立間先生の生徒さんだったそうです。そういえば先生は慶應で教鞭を執られてましたね。今回の講習会のプロデューサーで、平井先生含め今回の先生方は比較的若い方が多いです。
一方で参加者の方ですが、ご年配の方がほとんどでした。「ほう吉川英治とは懐かしい。昔そんな名前のルーキーがいたのう…」大ベテランの猛者勢ですね。反対に若者はぼくと、もうひとり高校生くらいの男の子しかいませんでした。ちょっと残念ですね。


では講習の内容を、ノートよりぼくが気になった個所をざっと書き出してきます。
1『三国志



2正史『三国志
・正史とは王朝公認のオフィシャルな史書。でも三国志官選ではない
・王朝の正統性の主張のため前王朝史を書く手法は、隋唐代に確立
・そして清乾隆帝によって二十四史が成立
・ちなみに最近『清史』の編纂に力を入れているとか…

「正史」に関する基礎知識。人民共和国が『清史』を書くということは、民国については…

・同時代史というのは、『三国志』にしかない特徴
・『○○志』という題名は三国志のみ。同時代史を書くという意識によるものか?
・もちろん魏が正統。たとえば魏書の中に劉備孫権の死の記述はない
・和刻本について。江戸時代には正史も印刷流通されていた
倭人伝はないよー
邪馬台国論争は、転写する時の誤りのせいではないか

結構前に読んだ岡田英弘倭国』で、あれは大月氏国に相当させるための数字で実際のものではないと書かれていておもしろかったんですが、どうなんでしょうね

・裴注が『三国志』の価値を高め、また小説化へのネタを提供した


3「正史」から「平話」へ
・唐代の俗講(仏教説話)がはじまり。日本でいうところの『今昔物語集』に似ている
・唐代李賀の詩から、赤兎の名前が既に確認できる
ということでしたが、赤兎は裴注で既に見られますよね
李商隠の詩から、既に三国志人物の造形が唐代から現れていた(張飛の髭、訒艾の吃音
ベトナム語でずる賢いことを「タオタオ」と言い、曹操の名前が語源
北宋の孟元老『東京夢華録』巻五「京瓦伎芸」に三国志語りの講釈師の具体名あり

岩波から日本語訳が出ているそうです。オススメですって

・抒情的な詩歌に対して、語りというジャンルには叙事的な内容が適している。三国説話は格好の題材
・『全相三国志平話』…説話人のタネ本
・因果応報の価値観に基づき、極端な誇張が多い
張飛が主役。知勇兼備の豪傑で、当時の民間の人気が窺える
・内閣文庫にしか現存してないお

『平話』日本語訳、欲しいですねー。今アマゾンだとめちゃ高いんですもん。この前まで4000円の出品があったのに。
奇遇ですけど今日はこれから二階堂先生の講演を聴きに行きます。なので急いで打ってます


4『三国志演義
演義は敷衍、パラフレーズ
・14世紀半ばの任侠的気風が反映。桃園結義の有名なフレーズは、本当に元末明初に好んで使われていたもの
・現代中国人は現行の演義を原書で読める。だから現代中国語版はない
・原書は文体比較ができるからおもしろいよ。人物呼称で両者の関係がわかるし、人物によって台詞が文語調だったりべらんめえ調だったりする
・章回小説独自の言い回しが残っている


5『三国志演義』と日本
・江戸以来のロングセラー
・湖南文山『通俗三国志
・久保天随『新訳演義三国志

天随の演義吉川英治が子供の頃よく読んだと回想されているのですが、毛本の翻訳だそうですね

演義翻訳の読み比べはおもしろいですよ。小川環樹・金田純一郎訳(岩波)、立間祥介訳(平凡社)、井波律子(ちくま)

この読み比べを最終回にやるそうですよ!

・三国モノのリスト。レジュメより引用させていただきますね。

○京劇の三国演目…今年も来日公演(「赤壁の戦い湖北省京劇院)
○宋・高承『事物紀原』(巻九)…「博亦嬉戯部・影戯」(三国関係の影絵芝居)
人形浄瑠璃(文楽)…竹田出雲作「諸葛孔明鼎軍談」

江戸時代のもので、姉妹が孔明と仲達に嫁ぐなどかなりオリジナル強い作品だとか

○歌舞伎…近松国性爺合戦五常軍甘輝の「関羽見得」歌舞伎十八番関羽
○「人形劇三国志」(NHK 1982〜1984 人形美術…川本喜八郎氏)

平井先生は人形劇の川本先生の、三国志関係の仕事をほとんど手掛けられたそうです。著書に『川本喜八郎』がございます

横山光輝の漫画、シュミレーションゲームの流行、猿之助スーパー歌舞伎
○検定ブームにあやかって、「三国志検定」の発足
○「レッドクリフ」と三国志ブーム…アジア映画として歴代最高の大ヒットを記録
○CCTV(中国中央電視台)「百家講壇」…易中天「品三国」

大学教授が生徒に講義をする番組で三国志を扱ったところ大ヒット

こんな感じの、濃密な90分授業でした。
でもだいぶ端折ってしまいましたんで、ハ、にゃもレポなんて、こんなんじゃ意味わかんねーよ。
ハイそこのあなた、次回は10月22日(金)18:30〜20:00。
慶應の吉永壮介先生による「孫呉を支えた四人の名将・名参謀―周瑜魯粛呂蒙陸遜―」。呉スキーはとりあえず参加ですね。 もちろんぼくも、行きますよ。
こんな感じで第1回 「より深く理解するための「三国志」講座」レポでした。
では、三田キャンパス行ってきますノシ