三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

『続後漢書』黄忠伝を本文校合では終わらなかった

三国志
曹公荊州,假行裨將軍,仍就故任,統屬長沙守韓玄
【続後漢書
曹操荊州,假行裨將軍,仍就故任,統屬長沙守韓元


ハハッ、ワロス












否・・・!終わっていない・・・!
ここで終ったらまるで・・・毎日更新だけを目的にしたかのよう・・・!
黄忠はかませ犬・・・!真の目的はその男・・・"韓玄"・・・!!


と言うのも、もちろん手元に『続後漢書』全文があるわけではなく、ましてや全文に検索をかけるなんてこともできませんからすべてをチェックするなどしようがないのですが、ただ『続後漢書』目録はコピーを持ってます。
これを見ますと、そこに「玄」の字が一切ないのですよ
すなわち、刁玄、張玄*1、芮玄*2、鄭玄、蔡玄*3、裴玄、夏侯玄、楼玄、いずれも「元」の字に改められています。これはもうなんかしらの理由があって意図的に替えられたと言っていいでしょう。
となると真っ先に思い当たるのが諱避ですが、歴代皇帝の諱を探ってみたり、正史二十四史すべてに「玄」で検索かけてみたりしたんですけど―。
普通に「"玄" 諱避」でggrks.
したらば犯人はやっぱり清の人。康熙帝こと愛新覚羅*4さんでした。『続後漢書』はそれまで散逸していたところを『四庫全書』によって復元されたそうなので、おそらくその時に避けられたのだと思います。


そしてさらにググった調べたところ、「購書偶記」さんところに書いてありましたー。いつもお世話になっております。*5
2007年8月20日の記事「漢字入力について〜古詩紀目録」
http://ameblo.jp/goushu/entry-10043998353.html

四庫全書は清朝乾隆帝の時代に編纂された書物であり、乾隆帝までの歴代の清朝の皇帝の名前に使われた文字は使用できず、(厳密には清朝初期の皇帝の満州語の名前の当て字は含まない)これを避諱と呼びます。よく出てくる避諱字とし玄・弘等がありますが、玄・弘の文字を使わずに元・宏のような代替字を使うか、文字の筆画を1画どこか省略するやり方がよく行われますが、前者の場合は全く別の文字に置き換えてしまうことでテキストの混乱を招きかねないものです。

*1:張紘の子と後漢末の儒者と二人がいますが、もちろん両方が

*2:呉三代に仕えた家柄で、娘を孫登に嫁がせている

*3:後漢書』儒林伝に立伝されています

*4:肖像画が不気味なことに定評がある名君。コッチ見んな

*5:そもそも『続後漢書』復元の話なども購書偶記さんに教えていただいたことだったと思います