三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

架空の兄 【曹喬】

曹操の兄にして、曹安民の父とされる人物。もちろん創作上の人物かと思われますが、ネット上の百科事典などでしばしば見かけます。
そこで改めて検索してみますと、主に以下のようなサイトさんが挙がってきました。
・My三国志
http://my3594.net/wiki/%E6%9B%B9%E5%96%AC
※人物事典に曹喬の記事がある
・YOMO帳
http://mk0113.gozaru.jp/yomoyama008.html
※1月15日参照。三国モノ創作で曹喬を登場させた裏話
 字が「玄徳」であることに触れている
ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%9B%B9%E5%AE%89%E6%B0%91
※曹安民の記事で触れられている
 曹安民の続柄が『三国志』と『三国演義』とで異なることを指摘している*1
・weekpedia
http://weekpedia.myht.org/index.php/%E6%9B%B9%E6%93%8D
曹操の記事で触れられている*2
 曹喬が亡くなったことで曹操の字が「吉利」から「孟徳」に変わったと指摘している


この内で最も古くに編集された記事が「My三国志」のようで、さらに調べますと「My三国志」内の曹喬に関係する文章が、すべて2008年8月13日の午前中にあるひとりのユーザーさんによって書かれていたことがわかりました。そして2008年より前には曹喬に関するサイトが全く見つかりませんでしたので、多分ネット上での元凶はこのユーザーさんでしょう。
しかし果たして曹喬の発祥そのものもこの方なのか、あるいはまた別の何かなのかはわかりません。ただ2008年以降ネット上での曹喬はじわりじわりと増えており、たとえばそのおいしいキャラ設定からSSに登場したり、また曹喬の存在を前提とした考察(上記の曹操の字に関する考察ですね)が行われるなど、稀にですがよく見かける存在になっています。もし仮に曹喬がこのユーザーさんのデタラメだとしたら、ひとりのデタラメが2年をかけて知らずのうちに三国志ファンに(ごく一部に対してではありますが)根付いてたってことですので、それはそれで大変興味深いことです。


3/25追記
コメントでT_Sさんが2008年より古い曹喬を教えて下さいました!
またおまいか・・・

*1:三国志武帝紀によれば曹操の弟の子であり、『三国演義』によれば兄の子となります。なので少なくとも『演義』的には曹操に兄がいること自体は間違いではなく、何故『演義』がそのような曹操の兄をさりげなーく盛り込んだのか、ちょっと気になるところです

*2:ご覧の通りこの記事、親族の項目がまったくデタラメだらけなんですけど、中には曹嵩のように石井先生の『曹操』を参考にして書いたであろう箇所もあるんで油断できません笑