村上春樹『風の歌を聴け』 段落とあらすじ
-1・2-
「この話は1970年の8月8日に始まり、18日後、つまり同じ年の8月26日に終る。」
-3- 1969?
鼠とジェイズ・バーにて。金持ちについて。*1
-4- 1967
鼠との出会い。
「僕が鼠と初めて出会ったのは3年前の春のことだった。それは僕たちが大学に入った年で、2人ともずいぶん酔っぱらっていた。」*2
-5- 1969
ジェイズ・バーにて、本を読まない鼠の話。*3
-6-
鼠の小説について。
-7-
僕が子供時代にほとんど喋らなかったこと。
-8・9- 1970
朝、目が覚めると隣に小指のない女の子がいた。
-10- 1971年?
鼠に会いにジェイズ・バーに来るも会えず。
ギムレット、長電話、ハンドバッグ、便所、の女に会う。*4
-11〜14- 1970
ラジオ番組「ポップス・テレフォン・リクエスト」
-15- 1970
レコード屋で小指のない女の子に会う。
-16- 1970
ジェイズ・バーにて、鼠が本を読んでいる。
誕生日プレゼントに、段落15で買ったベートーベンを渡す*5
-17- 1970
カルフォルニア・ガールズを貸してくれた女の子を探す
-18- 1970
小指のない女の子からの電話。*6
-19-
回想。かつて寝た女の子たちについて。
-20- 1970
ジェイズ・バーにて、小指のない女の子と会う。段落18の続き。
-21-
仏文科の女の子の死に関して。
-22- 1970
段落20の翌日。小指のない女の子の家でビーフシチューをご馳走になる。
-23-
仏文科の女の子について。*7
-24- 1970
鼠が僕に頼みごとをする。
-25-
鼠の家を訪ねた頃の回想。
-26-
仏文科の女の子について。
-27- 1970
僕の実家の描写がある。
-28-
僕の出身地について。
鼠の父親について。
-29- 1970
ジェイズ・バーで。鼠の調子が悪い。
-30-
高校の終わり頃の回想。
-31- 1970
鼠を誘ってプールに行く。
-32-
デレク・ハートフィールドについて。
-33- 1970
小指のない女の子と再会
-34-
仏文科の女の子の回想
-35・36- 1970
小指のない女の子について
-37- 1970
ラジオ番組「ポップス・テレフォン・リクエスト」
-38- 1970
僕が東京へ帰る
-39- 1978
後日談。
ジェイズ・バーが拡張、結婚したこと、鼠の小説、小指のない女の子*8
-40-
デレク・ハートフィールドについて。
*1:「一夏中かけて、僕と鼠はまるで何かに取り憑かれたように……」(p14)など、内容からこの段落は『風の歌を聴け』のメインの時間軸である1970年ではないような気がします。
*2:おそらく鼠とは大学に出る直前の3月頃に地元で鼠と出会ったのでしょう。
*3:「「ルート66」の再放送を眺めながら」の文章から、ルート66が再放送していたのが196年なのでこれで年代が特定できるそうです。
よってこの『風の歌を聴け』は60年代と70年代が入り混じる作品ということになります。
またこれ以後出てくる「本を読むようになった鼠」は1969年以降の鼠ということになり、そして段落16と合わせて考えると、少なくとも僕が目にしている「本を読むようになった鼠」はすべて70年以降の鼠であることがわかります。
*4:この段落で僕が「日本で人気のあるフランス人歌手」として「ミシェル・ポルナレフ」を挙げているんですけど、彼女が日本で本格的な地位を得るのは1971年だそうです。
*5:「ずいぶん本を読んだよ。この間あんたと話してからさ」のこの間とは段落5を指すと思いますが、この台詞からこの時(1970年夏)より前の段階では僕は「本を読む鼠」を知らないと思われます。
*6:女の子がジェイズ・バーで僕の電話番号を聴いた「背が高く、ちょっと変わっていて、モリエールを読んでいた」友達とはやっぱり鼠のことでしょうか。
*7:この段落で、僕が作中のわずか4か月前に彼女に死なれていることがわかります。
以前の記事に書いたとおり、彼女に関してはこの後のシリーズでも時々その面影が窺える場面があります。
*8:1978年は、シリーズの時系列で言えば『羊を巡る冒険』の真っ最中でありますが、さすがに無関係だと思います、、