週刊『反三国志演義』、第一回
☆第一回 詐りの手紙を見抜いて水鏡先生が徐庶を引き止め、
徐庶の母を迎えんとして諸葛孔明が趙雲を派遣する
※文庫版22ページ〜58ページ
○あらすじ
―『反三国志』は『三国志演義』で第36回に相当する、徐庶が劉備の元を去る場面から始まる。
程碰は徐母の手紙を偽造すると、狗頭を使者として徐庶を訪ねさせた。
偽手紙を受け取るや徐庶は動揺し、劉備の元を辞して許都に赴く事を請う。止める事もできず一同嘆き悲しんで徐庶を見送ろうとする中、ひとりほくそ笑む狗頭を趙雲は見止め、不信を抱く。疑心が拭えない趙雲は、徐庶らを追いかける事を決意する。
許都へと急ぐ徐庶・狗頭一行だったが、道中で狗頭が大怪我追ってしまい、仕方なく徐庶は単身許都へと向かう。そこへ趙雲が追い付き、残された狗頭を捕える。趙雲に詰問された狗頭はたまらず程碰の陰謀を暴露してしまう。
一方新野城では、関羽が諸葛亮の招聘に成功させた事を祝賀する最中であった。そこへ趙雲が掛け込み陰謀の真相を語れば、孔明はこれを大事と見、すぐさま徐庶救出の作戦を関羽、趙雲に授けた。
さて独り許都へ向かう徐庶、偶然立ち寄った司馬徽の屋敷にてこの度の事情を話せば、司馬徽は大笑い、忽ちに程碰の計略を看破した。司馬徽によって目が醒めた徐庶だったが、しかし老母の身が案じられ、司馬徽に策を請おうとすれば、そこへ現れたのは関羽である。徐庶がきっと司馬徽の屋敷に至るであろう事を予測した孔明が派遣したものだった。司馬徽は万事が解決した事を見通して、徐庶に新野へ戻るよう命じる。
こちらは許都、屋敷に幽閉される徐母は楽しまぬ日々を送っていたが、そんな折に程碰から使者が訪れ、自分の屋敷に招待すると言う。徐母は了解すると、使者に伴われて屋敷を出る。
ところがしばらくして、当の程碰が徐母の屋敷に訪ねてきた。程碰は屋敷に徐母がいない事を知って仰天、実は程碰の使者とは偽りで、正体は諸葛亮の命を受けた趙雲だったのである。直ちに追手が派遣されるものの、それをも見越していた諸葛亮は関羽軍を救援に送っていた。こうして無事、徐庶はその母と共に新野に帰還したのであった。
○主な登場人物
・徐庶&徐母
・司馬徽
計略を看破し、徐庶がすべき"孝"を説いてこれを救う。
この回では孔明と並んで高く扱われている。
ちなみに『演義』37回でも計略は見抜いたものの、徐庶と接触する機会がなかったためこれを防ぐ事は出来なかった。