『画俗三国志』
昨年秋に訪れた「時空をかける三国志」展では勉強になることがたくさんでしたが、特に蒙を啓かれたことが、この『画伝三国志』の存在であります。
『画伝三国志』
・全十篇七十六巻
・文政十三(1830)年〜天保六(1835)年刊行
・書肆 江戸両国 大黒屋
・編訳 重田貞一(すなわち十返舎一九。天保二年没)
・画、 歌川国安(歌川豊国門下。他に曲亭馬琴『傾城水滸伝』の挿絵など)
・所蔵 専修大学図書館に全揃であるらしい?
興味深いことは、『絵本通俗三国志』の刊行(天保七年)にわずかに先行する作品であること。
そして分量も、挿絵の質も『絵本通俗三国志』に劣っているようには思えず、しかも訳者は十返舎一九というビックネーム。にも拘わらず、さして広く伝わず、現在の研究でもあまり言及されることのない作品であります。
何しろ気になる作品なのですが、僕ではこの文字が読めないので如何ともしがたく、ただ研究が待たれるところです。