R荀攸と三国与太話
三国志大戦のカードのひとつ、魏R荀攸(地勢荀攸)には「夜光珠」という称号がついていました。
その典拠は『三国志』卷十の裴注かと思われます。
評曰、荀紣清秀通雅、有王佐之風、然機鑒先識、未能充其志也。荀攸、賈詡、庶乎算無遺策、經達權變、其良平之亞歟。
臣松之以為列傳之體、以事類相從。……且攸詡之為人、其猶夜光之與蒸燭乎。其照雖均、質則異焉。
陳寿が荀紣、荀攸、賈詡を同じ卷にまとめていることに、裴松之が文句をつけているという有名な一文です。荀攸と賈詡の人となりでは夜光と蒸燭のようなもので、照らすということでは同じでもその本質は異なるのだ、と裴松之は言います。
大戦はこの「夜光」を使ったよみたいで、さらに言えば、ちくま訳が「夜光の珠とおがらの灯」としたものが直接の元ネタでしょう。文章自体は賈詡を貶めるものですから、荀攸の称号にその一文を使うというのは微妙な気がしないでもありませんけど、でも大戦もずいぶん細かいところまで見ているんだなって思いました。
むかし、Maxiという大戦プレイヤーのSNSがありました。主に雑談や戦術考察のためのコミュニティでしたが、中には三国志そのものを少しかじったような人もいて、日記でいろいろ史実考察をしてました。
僕もそのひとりで、夜光珠のネタはそのときに書いたやつです。そういう考察系の日記を書くとき、僕は「三国与太話」というタイトルをつけていました。地勢荀攸を使ってた2008年末ごろのことです。
その頃は夜光珠の元ネタが正史であると思っていたのですが、より正しくはちくま訳に基づいてたをさっき気づいて、ふと懐かしくなりました。