前漢の六代目皇帝はだれ?
名古屋大学入試の世界史で出題ミスがあったとのニュースになってます。
記事によれば以下の通り。ウワサによると「第六代皇帝の○○は〜」みたいな穴埋め形式だったらしいです。
名古屋大が2月25日に実施した入学試験(前期日程)の世界史で出題ミスがあった。解答に諸説ある問題だったため、受験した143人全員に、この設問の配点を加点する。
前漢の第6代皇帝の名前を記述する問題で、名大は正解を「武帝」としていた。だが、武帝を7代とする教科書もあり、今回の措置を取った。試験後、大手予備校から指摘があった。
名大の担当者は「全体の文脈を読めば(解答は)武帝と分かるが、混乱を避けるための措置」と説明している。
朝日新聞デジタル(3/2 19:25)
http://www.asahi.com/articles/ASG2X5G7WG2XOIPE02D.html
この件は、呂后政権下の二少帝をどうカウントするかで見解が分かれたために問題になったものです。武帝までの時代で皇帝っぽいサムシングを挙げれば、高祖、恵帝、少帝恭、少帝弘、文帝、景帝、武帝といるわけで、これをそのまま数えれば六代目は景帝ですね。ツイッターで聞いた話だと教科書的にはこの数え方がオーソドックスっぽいかもとのことです。
でも今回の問題点は、景と武どっちの字が正しいかとかじゃなくて、中国の皇帝を何代目かで考えさせるというナンセンスなことをしたことです。大学で学ぶべき中国学を全然考慮してない迂闊な出題だと思います。
でも実際のとこ呂后二少帝ってどうなんでしょう?
僕もあんま具体例を出せるほど知らなくて。
知ってるとこだと、荀悦『漢紀』はどっちも歴代皇帝に数えてないです。たぶん前漢後漢ではこの数え方が普通なのかなってイメージなんですけど...
凡漢紀十二世十一帝、通王莽二百四十二年、一祖三宗。高祖定天下、孝惠、高后值國家無事、百姓安集。太宗昇平、世宗建功、中宗治平、昭、景稱治。元、成、哀、平歷世陵遲、莽遂篡國也。
―荀悦『漢紀』序
あと少帝恭、少帝弘といえば、諱の出典もよくわかってないらしいじゃないですか。
これもどうなってるんでしょう?