三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

華佗流鎮痛術

公袒下衣袍、伸臂令佗看視。佗曰、此乃弩箭所傷、其中有烏頭之藥、直透入骨。若不早治、此臂無用矣。公曰、用何物治之。佗曰、某自有治法。但恐君侯懼耳。公笑曰、吾視死如歸、有何懼哉。佗曰、當於靜處立一標柱、上釘大環、請君侯將臂穿於環中、以繩繫之、然後以被蒙其首。吾用尖刀割開皮肉、直至於骨、刮去骨上箭毒、用藥敷之、以線縫其口、方可無事。但恐君侯懼耳。公笑曰、如此容易、何用柱環。

関公が肌ぬぎになって臂を差し出すと、華佗は言った。
「これは鏃の毒で、烏頭が塗ってあるため、毒が骨にまでしみております。早いうちに治しておかねば、この腕は使えなくなりましょう」
「どうして治すのじゃ」
「療法は心得ておりますが、荒療治にござりますぞ」
関公は笑った。
「わしは死をもいとわぬ者じゃ。心配せずともよい」
「さらば、静かな部屋に柱を一本立てて鉄の輪をとりつけ、それに腕を通していただいたうえ、縄でしっかり縛り、顔を布でかくしていただきます。そのうえで、わたくしが鋭利な小刀で肉を切り裂き、骨をむき出しにして、骨についた鏃の毒を削ぎ落とし、薬を塗ってふたたび縫合いたせばよろしいのでござりますが、いかがでござりましょうか、おやりになりますか」
「なんだ、それしきのことなら、柱なぞいりはせぬわ」(立間訳)

――『三国志演義』第七十五回 關雲長刮骨療毒 呂子明白衣渡江



 なんで麻沸散を使わないの...?