「中国・ウイグル族の生活文化」展
だいぶ前のことになりますが、麗澤大学で行われていた「中国・ウイグル族の生活文化」展を観てきました。
ぼくは中国・西域仏教をもっぱらに調べてますんで、なんか柏の方でウイグル民族展をやるらしいと聞いたらば、とりあえずまぁ常磐線に乗りますよ。
ご存じですかウイグル民族?
ぼくは知りませんでした。
中国西部のキナ臭い報道で名前だけはぼんやりと憶えている程度です。
ウイグル族
↓
西の民
↓
西域仏教
↓
常磐線
シンプルですね。いいですね。
ウイグル民族とは現在の中華人民共和国ウイグル自治区などに点在している民族で、タクマラン砂漠の周縁でオアシス農業や手工業の交易を営んでいます……だそうです。歴史的には二十世紀前半、中央アジアのチュルク系イスラム教徒が古代のウイグルにちなんで名乗ったことによります……だそうです。
ウイグル自治区は中華人民共和国の最西北部でして、地図を見ればすぐわかると思いますが、我々が「西域諸国」として親しんでいる地域なんですよ。
現在のウイグル自治区における主な都市を挙げますと、カシュガル(喀什、かつての疏勒あたり)、ホータン(和田、かつての于闐)、クチャ(庫車、かつての亀茲あたり)、トルファン(吐魯番、かつての車師前国)など、おなじみの名前が見られます。例の、西域北道・西域南道に点在していたオアシス国家たちですよ。またウイグル自治区にも点在するキルギス族は主にはパミール高原で遊牧する民族らしいので、てことは大宛の近所ですね。
張騫が赴き、よく朝貢に来てくれて、虎穴とか言っちゃったり、時に軍を送ったりもしたけど、仏教を教えてくれて、仏図澄の生まれ故郷の、あの「西域諸国」です。
西の民→西域仏教なんて曖昧な関係ではありません。ウイグル自治区はぼくにとって大変に馴染みの深い地域でした。
しかしウイグルの人々って、ぜんぜん中国っぽくねぇですよねぇ。*1
しかしたとえばチベット族や、ウイグル自治区に点在するキルギス族などの人々の顔つきを見ますと「大陸的」「遊牧民族」と感じる部分があると思います。
しかしウイグル自治区の、東部に位置するトルファンの写真を見ても、中国のイメージとはまるで違いました。「中東」「シルクロードっぽい」と言った感じでしょうか?顔立ちも鼻が高く彫りが深い。ほら、胡人の特徴も鼻高で彫り深いと言われていませんでしたっけ?ゆうても中国人だからホントに鼻が高いわけではないでしょう、と思っていましたがこれはわかりませんね。
もちろん、現在のウイグル族は比較的最近にこの地域に現われた人々ですから=西域胡人ではありませんが、しかし西域の人々の可動性を考えるとまったく違うとも言えないかもしれませんよ。
さて西域諸国家といえば、そう仏教ですね。
中国に仏教をもたらしたかの仏教国家たちがすなわちウイグル自治区と知り大変テンションが上がったわけですが、残念ながら現在のウイグルでの主流はイスラム教だそうです。ウイグル族の正体は中央アジアから来たイスラム教徒だと最初に触れましたもんね。残念。仏教はいつの間にか廃れてしまったようです。
しかしホータンやトルファンの展示解説にはかつて仏教が栄えたことが触れられていました。各地に仏教遺跡も少なくないらしい。この地における仏教の影響はやはり小さいものではないのです。
ですからむしろ何故仏教が廃れたかより、仏教とイスラム教がいかに接し、あるいは結合した部分があったかどうか、というあたりが考えられたら楽しそうですね。
*1:いや、もう、ね、展示観てても「中国じゃない!中国じゃない!」としか考えてなくって。もっと他に感じることとか学ぶこととかなかったのかよ・・・