水皆西流
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てぃーえすのワードパッド「西海郡」
えっ
時に西海と言いますと、『漢書』西域伝のこの記事を思い出します。
于闐之西,水皆西流,注西海(『漢書』西域伝于闐国)
于闐国、現在のウイグルにある和田市(ホータン)ですが、なんと于闐より西では川の水が西に流れているそうなのです。信じられませんよねぇ。水が西から東へ、高い所から低い所へ流れるのは自明の理ですよ。流水が山を登るなんて、まさに西域ってのは異界です。
さてここで出ている西海が現在のどこにあたるのか気になるところですが、しかし「西海」はあちこちに登場してまして、
行可百餘日,乃至條支.國臨西海,暑溼,田稻.有大鳥,卵如甕.人衆甚多,往往有小君長,安息役屬之,以為外國.善眩.安息長老傳聞條支有弱水﹑西王母.亦未嘗見也.(『漢書』西域伝烏弋山離国)
はい条支国です!きっとファンも多いでしょう。甕ほどの卵を産む大鳥とか、魔法使いとか、西王母とか、西域伝屈指の夢の国として知られています。いつか条支国に関して書きたいですね。
この条支国の場所は諸説あるようでメソポタミアとかシリアとか言われていますけど、いずれにせよパルティアこと安息国(イラン)より西へ行くこと百日ほどだそうですから、于闐の水が注ぐという前出の「西海」と条支国と接する「西海」は明らかに別物ですね*1。
その他、ちょっと検索かけてみてもいろんな「西海」があり、なんか西域世界にあるでっけぇ水たまりはだいたい西海と呼ばれているように思います。
その中でも漢から最寄りの西海が、西平からちょっと西に行ったとこの青海、これも別名が西海だとか聞いたことありますんで、王莽がイメージしたのはこれでしょうか?