三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

并州刺史丁原 その2

 丁原シリーズ第3弾です。
  荊州刺史丁原(2011/4/4)
  并州刺史丁原 その1(2011/5/2)


その時、ひとりが宴卓を押しのけてつかつかと進みいで、大声に叫んだ。……董卓が見れば、荊州の刺史丁原である。



 この董卓との対決の箇所に関して、最初の記事では「嘉靖・葉逢春・李卓吾・毛宗崗いずれの版本でも"荊州刺史"で一致している」と書きました。
 しかし今日、中華書局の『古本小説叢刊』っていう本を読めまして、そこでいくらかの版本をチェックしたところ、少数でしたがこの箇所を"并州"と表記する版本があったのです。中川先生の『『三国志演義』版本の研究』による諸版本の系統表と照らしますと、以下のようになりました。



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 今回までにチェックできた版本が太字、そして"并州刺史"と表記するものを赤字にしました。
 ご覧の通り、まだまだチェックできている数がまったく少ないのですが、今のところは版本の系統には捉われずに分布しているかなと思います。