三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

三国志演義

全訳出来!(予定)

こんにちは。 ここ最近、のっぴきならない理由で、汲古書院のホームページをちらちら覗いてはそわそわする日々を送っていたのですが、そこでついさっき、思わず声を上げてしまうくらいびっくりなことを見っけました。ほんとに「おぅわっ」って声が出ました(…

箱崎みどり『愛と欲望の三国志』

僕もこれから読むので、なにかこう気の利いた宣伝なんかはできないのだけど、 ただとてもいい本なので、どうかぜひ読んでください。 愛と欲望の三国志 (講談社現代新書) 作者: 箱崎みどり 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/08/21 メディア: 新書 この商…

諸葛亮はいつから東南の風を呼ばなくなったのだろうか

このあいだ『吉川三国志』の諸葛亮の論文を書いたとき、ひとつどうしてもわからないことがあった。 孔明は、それに対して、こういうことをいっている。 「むかし、若年の頃、異人に会うて、八門遁甲の天書で伝授されました。それには風伯雨師を祈る秘法が書…

「銅雀台(邦題:曹操暗殺 三国志外伝)」を観た

三国志だったらなんでもおもしろいおもしろい言う僕なんですけど、この「曹操暗殺」ばかりは...正直わかんなかったです。 時は建安二十四年暮れ。 滅亡間近の漢王朝を舞台に、董承の乱・伏皇后の乱・吉本の乱という3つの暗殺劇をモチーフにしたオリジナルス…

「関雲長(邦題:KAN-WOO 関羽 三国志英傑伝)」を観た

関羽を主人公に、『三国志演義』の一幕である「五関斬六将」をクローズアップしたアクション映画です。 面白かった。 いや「レッドクリフ」でも「三国之見龍卸甲」でも僕いっつも「面白かった」しか言ってないですけど、これも本当に面白かった。見どころが…

「三国之見龍卸甲(邦題:三国志)」を実況せんとす

(06.44)「常山はここだよ」と得意げに説明する羅平安の地図、常山が長江沿いにある。 ………。 まあ、それはそれとして趙雲たちが今いるのは青州らしいです。ってことは、今は官渡の戦いの直前かな?(08.17)羅平安の地図、ところどころにメモ書きがあるんで…

「レッドクリフ partⅡ」を実況せんとす

(5.24)partⅠのラストから引き続いてのサッカー蹴鞠。なんで蹴鞠? ところで僕、レッドクリフを見るまでこういう形式の蹴鞠があることを知りませんでした。今の日本でやってるあの蹴鞠を想像してたので。より古い時代にはこうして両チームでゴールを競い合…

「レッドクリフ partⅠ」を実況せんとす

(04.05)オープニングで映る宝剣。副音声で井戸田さんが「これ劉備が母親から貰った伝家の宝剣かと思った」と言ってます。先生が「それはマンガのことで演義にはないので、中国にはない話なので無理であります」と答え、「演義にはないんですか」と驚く井戸…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その5

第5話「三英傑、呂布と戦う」◆袁術 僕は正直、全体で言えばTKのキャスティングはちょっといまいちだなあと思ってます。こういったことにはまるで詳しくないのでこの感覚を具体的に言葉にはできないのですけど、たとえばレッドクリフの方が―制作規模的に比…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その4

第4話「関羽、華雄を斬る」◆関羽vs華雄 『演義』では、序盤きっての見せ場である関羽対華雄の一騎討ちを、あえて直接描写しないという手法がとられています。カメラを諸侯の本陣に据え置いたまま、陣太鼓の響きや鬨の声という音の効果によって関羽の勝利を…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その3

第3話「曹操、善人を誤殺す」◆呂伯奢事件 前話の終盤から本話の前半まで、かなり尺を取ってましたね。 呂伯奢事件は、曹操の生涯の4つの汚点のひとつであり、これをどう描き、どう説明するかが、曹操を主軸にする物語にとっての大きな課題だと思います*1。…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その2

第2話「曹操、亡命す」◆呂布と貂蝉の出会い 曹操が王允秘蔵の七星刀を使用したことから、董卓が王允を暗殺計画の黒幕かと疑う ⇒命を受けた呂布が王允邸に乗り込み、思いがけず貂蝉と出会う ⇒貂蝉は父の無罪を呂布に釈明 ⇒王允邸にちゃんと七星刀(実は偽物…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その1

第1話「曹操、刀を献ず」◆黄巾の乱 ……がこのドラマではないんですね。「三国志」の幕開けといえば黄巾の乱ってイメージが完全に固定されてるんで、初めて知ったときはちょっと驚きました。 カットされた理由は何なんだったんでしょう? 尺の都合? それとも…

袁術の皇后

九州春秋曰、司隸馮方女、國色也。避亂揚州、術登城見而悦之、遂納焉、甚愛幸。諸婦害其寵、語之曰、將軍貴人有志節、當時時涕泣憂愁、必長見敬重。馮氏以為然、後見術輒垂涕、術以有心志、益哀之。諸婦人因共絞殺、懸之廁梁、術誠以為不得志而死、乃厚加殯…

華佗流鎮痛術

公袒下衣袍、伸臂令佗看視。佗曰、此乃弩箭所傷、其中有烏頭之藥、直透入骨。若不早治、此臂無用矣。公曰、用何物治之。佗曰、某自有治法。但恐君侯懼耳。公笑曰、吾視死如歸、有何懼哉。佗曰、當於靜處立一標柱、上釘大環、請君侯將臂穿於環中、以繩繫之、…

典韋の短戟

典韋の「双鉄戟」とは別の隠し武器、原作三国志演義だと短戟って書いてるけど、使用方法的には短刀っぽい。敵兵目がけて数十本投げてるし。立間先生の注釈だと短い槍、日本で言う手裏剣に近いって書かれてるね。ゴツい身体して手裏剣使えるとか悪来さん万能…

關聖帝君の䖝袍

旧暦6月24日は全世界的に――...異説もありますけど、関羽の誕生日です。 玄紱看其人、身長九尺、髯長二尺、面如重棗、脣若塗脂、丹鳳眼、臥蠶眉、相貌堂堂、威風凜凜。玄紱就邀他同坐、叩其姓名。其人曰、吾姓關、名羽、字壽長、後改雲長、河東解良人也。 …

宮城谷昌光『三国志読本』への批判 「新しい三国志」について

先週、宮城谷昌光の『三国志読本』をめぐって、ツイッターでもろもろの意見が飛び交いました。ひろおさんから始まり、僕が食いついたことで広まった話の様子は、ひろおさんの方でまとめられております。 http://3guozhi.jp/l/tn.html その中で、議論が飛び火…

王甫と関羽

去年『吉川三国志』人物事典を作ったとき、えらい驚いたこと。 この人、王甫の話です。 王甫といえば、 ・関羽配下として樊城の戦いに従い、 ・呂蒙の策で荊州が陥落すると周倉と共に麦城に籠城し、 ・関羽が討死したため城壁から身を投げて自害した と、い…

羅貫中の呪い

羅子撰水滸、而三世生唖児、紫媛著源語、而一旦堕悪趣者、蓋爲業所偪耳。 羅貫中は『水滸伝』を書いて、そのために子孫三代口のきけない子が生まれ、紫式部は『源氏物語』をあらわして、そのために一度は地獄に墜ちたというが、それはおそらく自業自得という…

張飛の蛇矛

前半は、上原究一さんの論文「丈八蛇矛の曲がりばな ―張飛像形成過程続考―」(『三国志研究』七、2012)に依っています。後半の日本の話は袴田の独自調査です。 張飛の蛇矛についてはネットだとずいぶん違ったことが書かれているので、自分の知っている…

毛宗崗本における貂蝉の最期

同時代の語り物に比べて、『三国志演義』は貂蝉をきわめて高く評価しています。とくに毛宗崗本『演義』はその傾向が強く、以下のように貂蝉を麒麟閣・雲台(漢の功臣)に匹敵しうる英雄と位置づけています。このことは多くの先行研究で検討されてきました*1…

毛宗崗本における華佗の最期

以下は立間祥介訳『三国志演義』第七十八回の一段落である。 頭痛に悩まされる曹操は、神医と称される華佗を辟紹して治療にあたらせる。以下を読んで問いに答えよ。 華佗の言うには、 「大王(曹操)の頭痛は風がもとで起こったものでございます。病根が頭の中…

関羽の郵便屋さん

「わたくしは姓を胡、名を華と申します。いま息子の胡班と申すのが、滎陽太守の王植殿のもとで従事をいたしておりますが、将軍がもしあのあたりをお通りになるようでしたら、息子に手紙をことづかっていただけないでしょうか?」 ―『三国志演義』第二十七回…

魏の"呂通"なる人

水軍の中央は黄旗の毛玠と于禁、前軍に紅旗の張郃、後軍に黒旗の呂虔、左軍に青旗の文聘、右軍に白旗の呂通を配した。陸上の前軍には紅旗の徐晃、後軍に黒旗の李典、左軍に青旗の楽進、右軍に白旗の夏侯淵である。水陸路の接應使には夏侯惇と曹洪、護衛往来…

關帝信仰における周倉のはじまり

1909年、西夏国の遺跡カラホト(黒城)が発見された際に出土したという、金代の関羽画であります。『三国志演義』や『三国志平話』よりも古い、現存最古の関羽像と言われています。しかしながら関羽の鬚や青龍刀という、現在の関羽像に通じるアイテムが…

『吉川三国志』研究、参考文献目録

学部の頃に国文学を専攻して以来、大学院で中国学をやっている今も、『吉川三国志』を読み解こうと(本来のテーマとは別に)ちょっとアプローチを続けていました。せっかくなので、今まで使ってきた参考文献の目録をアップします。 僕はもっぱら「三国志」の…

和製蛇矛の曲がりばな その2

・「三国与太噺」‐丈八蛇矛の分かればな ・「三国与太噺」‐和製蛇矛の曲がりばな その1 『絵本通俗三国志』によって広まってしまった三叉槍の蛇矛。 では、日本の蛇矛が「曲がりはじめる」のはいつ頃なのでしょうか。 そこで注目しましたのは、『絵本通俗三…

『三国志平話』登場人物の一覧

『三国志平話』は『三国志演義』の原型となった物語だとされています。 しかし比較してみるとなかなか面白い違いがいっぱいあって、特にその登場人物について、『三国志平話』でしか見られない人物がいたり、また『三国志』『三国志演義』にも登場するけど全…

和製蛇矛の曲がりばな その1

以前の記事で、張飛の蛇矛が「曲がりくねった」状態になるのは近現代になってからであるということ、『絵本通俗三国志』の蛇矛が今の形とは全然似ても似つかないことを書きました。 「三国与太噺」‐丈八蛇矛の分かればな 『絵本通俗三国志』は近世近代の「三…