三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

じゃらじゃらしてるアレ

 ←これ

 このかぶりものは「冕冠」と言うそうで、じゃらじゃらしてるやつを「旒」と言うそうです。たぶん。

 冕冠、垂旒、前後邃延、玉藻。……冕皆廣七寸、長尺二寸、前圓後方、朱䖝裏、玄上、前垂四寸、後垂三寸、係白玉珠為十二旒、以其綬采色為組纓。三公諸侯七旒、青玉為珠。(『後漢書』輿服下)

 それによれば、アレの本数は身分によって異なり、天子なら12本、三公諸侯ならば7本なのだそうです。
 なので、左の劉協を見てみてください。数えにくいですけど、なるほど12本です。



 そして、上画像と同じ話に描かれている曹操の冕冠を見ますと、

 ちゃんと劉協より少ないです。6本というと『後漢書』の記述とは異なりますが、、
 このように王欣太さんは、おそらく冕冠を知った上で描き分けていたんだと思います。


 もう少し具体的な話をしましょう。
 この画像は劉備が漢中王に封ぜられたときのものですが、

 旒は7本です。諸侯は「七旒」という『後漢書』と一致します。
 一方で、下画像は同じ話の表紙になる画像ですが、旒を数えてみますと、

 バラバラになっているので数えにくいですけど、12本あります。
 いにしえの漢中王、高祖劉邦という虚像をまとう劉備の姿が、こんな感じに表現されているわけです。



 これは『蒼天航路』最終巻の表紙ですが、旒を数えると12本あります。

 ということは、これは魏王のまま死んだ曹操の実像ではなく、スデに歴史上の存在となった魏の武皇帝・曹操のイメージなんだとわかる、というわけです。
 手元に『蒼天航路』をお持ちの方は、ぜひ冕冠に注目してみてください。
 割と、曹操劉備が「12本になってる」シーンがありますよ。