三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

与太噺

ハングルの「三国誌」の話

三国志を好きになりはじめたばかりのある日のこと。 ふと図書館で「三国史記」なる本を見つけ、すわ三国志だと思って手に取ってみたら、三国は三国でもそれは朝鮮の三国史(新羅・高句麗・百済)だった―― という哀しき過去を我々は誰しもが抱えているわけで…

「銅雀台(邦題:曹操暗殺 三国志外伝)」を観た

三国志だったらなんでもおもしろいおもしろい言う僕なんですけど、この「曹操暗殺」ばかりは...正直わかんなかったです。 時は建安二十四年暮れ。 滅亡間近の漢王朝を舞台に、董承の乱・伏皇后の乱・吉本の乱という3つの暗殺劇をモチーフにしたオリジナルス…

「関雲長(邦題:KAN-WOO 関羽 三国志英傑伝)」を観た

関羽を主人公に、『三国志演義』の一幕である「五関斬六将」をクローズアップしたアクション映画です。 面白かった。 いや「レッドクリフ」でも「三国之見龍卸甲」でも僕いっつも「面白かった」しか言ってないですけど、これも本当に面白かった。見どころが…

「三国之見龍卸甲(邦題:三国志)」を実況せんとす

(06.44)「常山はここだよ」と得意げに説明する羅平安の地図、常山が長江沿いにある。 ………。 まあ、それはそれとして趙雲たちが今いるのは青州らしいです。ってことは、今は官渡の戦いの直前かな?(08.17)羅平安の地図、ところどころにメモ書きがあるんで…

「レッドクリフ partⅡ」を実況せんとす

(5.24)partⅠのラストから引き続いてのサッカー蹴鞠。なんで蹴鞠? ところで僕、レッドクリフを見るまでこういう形式の蹴鞠があることを知りませんでした。今の日本でやってるあの蹴鞠を想像してたので。より古い時代にはこうして両チームでゴールを競い合…

「レッドクリフ partⅠ」を実況せんとす

(04.05)オープニングで映る宝剣。副音声で井戸田さんが「これ劉備が母親から貰った伝家の宝剣かと思った」と言ってます。先生が「それはマンガのことで演義にはないので、中国にはない話なので無理であります」と答え、「演義にはないんですか」と驚く井戸…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その5

第5話「三英傑、呂布と戦う」◆袁術 僕は正直、全体で言えばTKのキャスティングはちょっといまいちだなあと思ってます。こういったことにはまるで詳しくないのでこの感覚を具体的に言葉にはできないのですけど、たとえばレッドクリフの方が―制作規模的に比…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その4

第4話「関羽、華雄を斬る」◆関羽vs華雄 『演義』では、序盤きっての見せ場である関羽対華雄の一騎討ちを、あえて直接描写しないという手法がとられています。カメラを諸侯の本陣に据え置いたまま、陣太鼓の響きや鬨の声という音の効果によって関羽の勝利を…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その3

第3話「曹操、善人を誤殺す」◆呂伯奢事件 前話の終盤から本話の前半まで、かなり尺を取ってましたね。 呂伯奢事件は、曹操の生涯の4つの汚点のひとつであり、これをどう描き、どう説明するかが、曹操を主軸にする物語にとっての大きな課題だと思います*1。…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その2

第2話「曹操、亡命す」◆呂布と貂蝉の出会い 曹操が王允秘蔵の七星刀を使用したことから、董卓が王允を暗殺計画の黒幕かと疑う ⇒命を受けた呂布が王允邸に乗り込み、思いがけず貂蝉と出会う ⇒貂蝉は父の無罪を呂布に釈明 ⇒王允邸にちゃんと七星刀(実は偽物…

「三国志 Three kingdoms」全95話を観る その1

第1話「曹操、刀を献ず」◆黄巾の乱 ……がこのドラマではないんですね。「三国志」の幕開けといえば黄巾の乱ってイメージが完全に固定されてるんで、初めて知ったときはちょっと驚きました。 カットされた理由は何なんだったんでしょう? 尺の都合? それとも…

袁術の皇后

九州春秋曰、司隸馮方女、國色也。避亂揚州、術登城見而悦之、遂納焉、甚愛幸。諸婦害其寵、語之曰、將軍貴人有志節、當時時涕泣憂愁、必長見敬重。馮氏以為然、後見術輒垂涕、術以有心志、益哀之。諸婦人因共絞殺、懸之廁梁、術誠以為不得志而死、乃厚加殯…

華佗流鎮痛術

公袒下衣袍、伸臂令佗看視。佗曰、此乃弩箭所傷、其中有烏頭之藥、直透入骨。若不早治、此臂無用矣。公曰、用何物治之。佗曰、某自有治法。但恐君侯懼耳。公笑曰、吾視死如歸、有何懼哉。佗曰、當於靜處立一標柱、上釘大環、請君侯將臂穿於環中、以繩繫之、…

曹操の玄孫

さっき新漢籍全文を使っててたまたま見つけたやつです。 曹侯村 魏武帝玄孫曹叔良所居、今相公橋左王宅園是也。 ―『重修曹谿通志』卷一 山川形勢第一 古蹟 山初未有名、因魏武玄孫曹叔良避地居此、以姓名村。而水自東遶山、而西經村下、故稱曹溪。 ―『重修曹…

蔡邕の娘の子供の伯母

羊祜字叔子、泰山南城人也。……祜、蔡邕外孫、景獻皇后同産弟。 ――『晋書』羊祜伝景獻羊皇后諱徽瑜、泰山南城人。……后母陳留蔡氏、漢左中郎將邕之女也。 ――『晋書』景獻羊皇后伝 ご存知の通り、羊祜と羊皇后の母親は蔡邕の娘(済陽県君)なんですけど、ところ…

全国関帝廟マップを作りたい

秋くらいから、なんか関羽ブームが来てます。僕の中で。 一時期、尚書省三國志部の教団さんと一緒に日本のあっちこっちの関帝廟を調べてまくるってことをやってました。 日本で関帝を祀る所といえば、これまで哲舟さんがリストアップされていた全国関帝廟ガ…

公孫瓚の娘

最近、「さんぱず」とかの三国志ゲーで、「公孫瓚の娘」ってのを見かけます。 実際にプレイしてないんで詳しいことはわかんないんすけど、はて公孫瓚に娘がいたっけ? 攻略wikiを見ると、どうやらこうゆう設定らしいんですけど。 公孫女 公孫瓚の娘。公孫瓚…

賈南風と娘

西晋のバカ皇帝でおなじみの恵帝。 その妻で、これまた淫乱残虐でおなじみの賈皇后こと賈南風。 ふたりの間にはついに皇子が生まれず、ただ数人の女子がいたのみであり、正史たる『晋書』にも、 惠帝即位、立為皇后。生河東、臨海、始平公主、哀獻皇女。 (…

シーボルトが見た関羽?

関羽を求めてネットをうろついていたら、こんな画像を見つけました。 http://www.lib.pref.fukuoka.jp/hp/gallery/nippon/kg/n2-305k.html *1 まごうことなき関羽ですね… *1:末木文美士ら編『シーボルト『日本』図録』巻三(雄松堂書店、1979)より

関羽の末裔その1 【関永傑】

関羽の子孫といえば日本では一般に、蜀漢滅亡のときに龐会によって滅ぼされたとされています。 しかし― 關永傑、字人孟、鞏昌衞人。世官百戸。永傑好讀書、每遇忠義事、輒書之壁。狀貌奇偉、類世人所繪壯繆侯像。崇禎四年會試入都、與儕輩遊壯繆祠。有道士前…

張飛廟の馬斉

こないだツイッターって知ったネタです。 ・魂太郎三国志遺跡の1人旅 現在でも中国には各地に張飛の廟が残っているらしく、こちらの方はそのうち閬中の張飛廟に行かれたとのこと。 で、関帝廟に関平と周倉がいるように、張飛廟にも従臣がいたそうなのですが…

『建康実録』と乾隆帝と関公

「関忠義」という三字は忠義将軍関羽ということなんだろうか。初めて聞く。 #建康実録— 六合 (@Rieg__Goh) 2014, 5月 19 これ見て(゚д゚)ハッとなりました。 どう見ても、乾隆帝のせいだと。 『清史稿』卷八十四 禮志三 關聖帝君にこんな一条があります。 乾隆三…

王甫と関羽

去年『吉川三国志』人物事典を作ったとき、えらい驚いたこと。 この人、王甫の話です。 王甫といえば、 ・関羽配下として樊城の戦いに従い、 ・呂蒙の策で荊州が陥落すると周倉と共に麦城に籠城し、 ・関羽が討死したため城壁から身を投げて自害した と、い…

趙雲の嫁なんているはずがない

ただの思いつきなんで、適当なこと書いてたらすみません。 趙雲って、びっくりするほど女性関係のイメージがない人物じゃないですか。 もちろん趙雲には趙統趙廣という息子がいますから、当然夫人だっていたはずです。当たり前です。 でもググってみると、た…

関平の息子 【関樾】

数か月前から、ずっと気になってた記事がありました。 また、清代の『江陵県志』によると、関平は趙雲の娘趙氏を娶ったという。 関平と趙氏の子は関樾(木偏に越)という名で、江陵に住んでいたとある。(趙氏,關平之妻,清《江陵縣志》載關平娶鎭東将軍趙…

「現代三国志」の女性たち  −三国志大戦3を中心に

ふと思うところがあって、「三国志大戦3」に登場した女性人物を調べました。 やたらマイナーな人物が多かったとプレイ当時も感じていたのですが、改めて調べてみると気になる傾向が見えてきました。 以下は、三国志大戦シリーズでの登場順に並べて一覧にし…

前漢の六代目皇帝はだれ?

名古屋大学入試の世界史で出題ミスがあったとのニュースになってます。 記事によれば以下の通り。ウワサによると「第六代皇帝の○○は〜」みたいな穴埋め形式だったらしいです。 名古屋大が2月25日に実施した入学試験(前期日程)の世界史で出題ミスがあっ…

吉川英治『三国志』(平成25年)

今月の『三国志ナビ』をもって、ついに新潮社版の『吉川三国志』全十巻+αが出そろいました。吉川英治の著作権が切れた"その月から"刊行を始めた本シリーズも、ようやく全冊を並べられることができました。 こうして見るとさすが壮観です。なんといっても長…

R荀攸と三国与太話

三国志大戦のカードのひとつ、魏R荀攸(地勢荀攸)には「夜光珠」という称号がついていました。 その典拠は『三国志』卷十の裴注かと思われます。 評曰、荀紣清秀通雅、有王佐之風、然機鑒先識、未能充其志也。荀攸、賈詡、庶乎算無遺策、經達權變、其良平…

唐の正統観

長い分裂時代をへて久しぶりの長期統一国家となった唐では、自分たちがどの国家を継承しているかについてしばしば議論になったと聞きます。 そのことが二王三恪の制にも表れています。 (天寶)七載五月……以 魏、周、隋為三恪。 九載……、九月辛卯、以商、周…