三国与太噺 season3

『三国志演義』や、吉川英治『三国志』や、日本の関帝廟なんかに興味があります。

三国

ハングルの「三国誌」の話

三国志を好きになりはじめたばかりのある日のこと。 ふと図書館で「三国史記」なる本を見つけ、すわ三国志だと思って手に取ってみたら、三国は三国でもそれは朝鮮の三国史(新羅・高句麗・百済)だった―― という哀しき過去を我々は誰しもが抱えているわけで…

全訳出来!(予定)

こんにちは。 ここ最近、のっぴきならない理由で、汲古書院のホームページをちらちら覗いてはそわそわする日々を送っていたのですが、そこでついさっき、思わず声を上げてしまうくらいびっくりなことを見っけました。ほんとに「おぅわっ」って声が出ました(…

袁術の皇后

九州春秋曰、司隸馮方女、國色也。避亂揚州、術登城見而悦之、遂納焉、甚愛幸。諸婦害其寵、語之曰、將軍貴人有志節、當時時涕泣憂愁、必長見敬重。馮氏以為然、後見術輒垂涕、術以有心志、益哀之。諸婦人因共絞殺、懸之廁梁、術誠以為不得志而死、乃厚加殯…

曹操の玄孫

さっき新漢籍全文を使っててたまたま見つけたやつです。 曹侯村 魏武帝玄孫曹叔良所居、今相公橋左王宅園是也。 ―『重修曹谿通志』卷一 山川形勢第一 古蹟 山初未有名、因魏武玄孫曹叔良避地居此、以姓名村。而水自東遶山、而西經村下、故稱曹溪。 ―『重修曹…

張飛廟の馬斉

こないだツイッターって知ったネタです。 ・魂太郎三国志遺跡の1人旅 現在でも中国には各地に張飛の廟が残っているらしく、こちらの方はそのうち閬中の張飛廟に行かれたとのこと。 で、関帝廟に関平と周倉がいるように、張飛廟にも従臣がいたそうなのですが…

宮城谷昌光『三国志読本』への批判 「新しい三国志」について

先週、宮城谷昌光の『三国志読本』をめぐって、ツイッターでもろもろの意見が飛び交いました。ひろおさんから始まり、僕が食いついたことで広まった話の様子は、ひろおさんの方でまとめられております。 http://3guozhi.jp/l/tn.html その中で、議論が飛び火…

曹植と神仙たち

僕は、曹植は神仙的要素には否定的だったとイメージしてました。 裴松之注に引かれる曹植『辯道論』に、こんな文章があるからです。 東阿王作辯道論曰、世有方士、吾王悉所招致、甘陵有甘始、廬江有左慈、陽城有郤儉。始能行氣導引、慈曉房中之術、儉善辟穀…

関平の息子 【関樾】

数か月前から、ずっと気になってた記事がありました。 また、清代の『江陵県志』によると、関平は趙雲の娘趙氏を娶ったという。 関平と趙氏の子は関樾(木偏に越)という名で、江陵に住んでいたとある。(趙氏,關平之妻,清《江陵縣志》載關平娶鎭東将軍趙…

曹丕と道教文献

搜神記曰、……漢世西域舊獻此布、中間久絶、至魏初、時人疑其無有。文帝以為火性酷烈、無含生之氣、著之典論、明其不然之事、絶智者之聽。及明帝立、詔三公曰、先帝昔著典論、不朽之格言、其刊石於廟門之外及太學、與石經並、以永示來世。至是西域使至而獻火…

R荀攸と三国与太話

三国志大戦のカードのひとつ、魏R荀攸(地勢荀攸)には「夜光珠」という称号がついていました。 その典拠は『三国志』卷十の裴注かと思われます。 評曰、荀紣清秀通雅、有王佐之風、然機鑒先識、未能充其志也。荀攸、賈詡、庶乎算無遺策、經達權變、其良平…

平成24年&25年のまとめ

矢のようにけたたましく過ぎていった二年間でした。 新潮社より、吉川英治『三国志』が新装版で好評刊行中 同じく新潮社文庫より、『吉川三国志』を踏まえた渡邉義浩『三国志ナビ』が発売。第二章 「三国志」人物伝の作成を担当。『吉川三国志』に準拠した人…

諸葛菜と孔明菜

先日のBSプレミアム「ザ・プロファイラー」という番組にて諸葛亮が特集されていましたが、ご覧になられたでしょうか? 監修・解説はおなじみ渡邉義浩先生でしたが、個人的にはVTRで渡辺精一先生が出演されていたことにびっくりしました。二松でお世話になっ…

蔡邕の娘

西晋の名将羊祜と司馬師の皇后羊氏の姉弟が、かの蔡邕の外孫であることは有名です。 ただ、右図を見ての通り、羊姉弟と蔡邕では生没年がずいぶんと離れてますよね。蔡氏が蔡邕最晩年の娘だったとしても、30年は離れすぎです。蔡氏はわりかし高齢の出産だっ…

蹋頓の読み方

遼西單于蹋頓尤彊、為紹所厚、故尚兄弟歸之、數入塞為害。 ―『三国志』巻一 武帝紀 建安十一年 前々からこの「蹋頓」の読み方がわからなかったんです。 wikipediaでは「トウトン」 『蒼天航路』では「トウトツ」 『秘本三国志』も「トウトン」 三国志大戦で…

匈奴の仏像と三国時代の仏教

其の明年春、漢は驃騎將軍去病をして萬騎を將ゐ隴西に出でさしむ。焉支山を過り千餘里、匈奴を擊ち、胡の首虜萬八千餘級を得、破りて休屠王の天を祭るの金人を得る。 ―『史記』匈奴伝 去病の侯たること三歲、元狩二年春、票騎將軍と為り、萬騎を將ゐ隴西に出…

竹中半兵衛と今孔明

『センゴク天正記』11巻、初期からの主要人物であった竹中半兵衛が陣没するこの巻は、かかる引用で締めくくられています。 秀吉の御座す平山に行きて六月中の頃 終に失せにしそかし、秀吉限りなく悲しみ劉備孔明を失いしに劣らずという 『豊鑑』 秀吉を劉…

改姓の事例

「尚書省 三國志部」‐『三国志』中の改名した人物 こちらの教団さんの記事に触発されまして、僕は「改姓した人」に絞って調べてみたいなと思いました。 教団さんの記事を見ながら、いま思いついた限りを挙げてみただけでありますので、足りない事例を教えて…

悪来と曹操

典韋を悪来に準えはじめるのはいつのどの書からなんだろう? てぃーえすのワードパッド‐「悪が来る」(9/25) 僕もちょっと検索してみたんですけど、典韋を悪来と評す文献は、『三国志演義』より前にはないみたいです。 てっきり、裴注あたりにあるだろうと思…

三国志blog of the Apr

4月に更新された三国志ブログさんで興味深かった記事を集めました。ヽ(・ω・)/

『四庫提要』史部正史類 「三国志」

【原文】 晉陳壽撰。宋裴松之注。壽事蹟具晉書本傳。松之事蹟。具宋書本傳。 凡魏志三十卷。蜀志十五卷。吳志二十卷。 其書以魏爲正統。至習鑿齒作漢晉春秋。始立異議。自朱子以來。無不是鑿齒而非壽。然以理而論。壽之謬萬萬無辭。以勢而論。則鑿齒帝漢順而…

三国志blog of the Mar

3月に更新された三国志ブログさんのうち、僕が楽しいなと思ったものを集めました(・ω・)

三国志blog of the Feb

2月に更新された三国志ブログさんのうち、僕が楽しいなと思ったものを集めました(・ω・)

三国志blog of the Jan

この1月に更新された三国志ブログさんで特に面白かった記事を、僕のブックマークの中から6つ、選んでみました。 もし他にもすごいブログさんあるのに抜け落ちてたとしたら、きっとそれは僕がまだ知らないブログさんなので是非教えてください(゚∀゚)ノシ

関羽の剣

こないだ雲子春秋さんが取り上げていた『古今刀剣録』は関羽の剣についても書いています。 『古今刀剣録』 關羽、先主の重ずる所と為り、身命を惜しまず。采都山の鉄より二刀を為し、銘して曰く"萬人"。羽敗るるに及び、刀を惜しんで之を水中に投ず。 銘の「…

怪しげな孔明の三男 【諸葛懐】

昨日に引き続き、今日は諸葛亮の三男だという諸葛懐についてです。 wikipedia -「諸葛懐」 こちらも張澍『諸葛忠武侯文集』故事諸葛篇が引く『諸葛氏譜』で諸葛懐のエピソードが触れられています。 原文:晋泰始五年己丑、王覧為太傅、詔錄故漢名臣子孫蕭・…

怪しげな孔明の孫 【諸葛質】

昨日に続き、ウィキペディアの怪しげな記事、諸葛質についてです。 wikipedia -「諸葛質」 とにかくウィキの記事が信憑性に欠けるので、ともすれば編集者さんの妄想ぶっぱじゃないかと疑っているのですがねー。 もちろん諸葛質の存在が不確かであるところは…

諸葛質?諸葛懐?

ウィキペディアで諸葛孔明を調べますと、諸葛質、諸葛懐、諸葛果、諸葛望なる人たちのことが書かれています。 張澍『諸葛忠武侯文集』によれば、諸葛質という息子がおり(故事巻一「雑記」)、また諸葛懐という息子・諸葛果という娘がいたとされる(故事巻一…

陳留王曹粲に対する疑問

wikipedia「曹奐」や「魏 (三国)」には、曹魏の末裔として以下の様な説明がされています。 479年、蕭道成が宋から禅譲を受け斉となったが、蕭道成に禅譲を勧める上奏に、陳留王の曹粲が名を連ねている。同年8月、王位を除かれた。 曹氏の末裔が晋王朝・宋王…

張楊の字の誤り

「三国与太噺」-張楊の字について ちょっとだけ補足です。 張楊の字は『三国志演義』でもやはり稚叔であり*1、また中文ウィキペディアも同様であったので、やっぱりこっちが正しいのでしょう。 そしてここまでインターネットで広く誤りが拡大してしまった理…

張華『博物志』の佚文「沃沮の女國」

昨日の記事にて、現行『博物志』が佚文を集めた輯本であること、そして今問題としている「沃沮の女國」の段落も佚文であろうということを書きました。 そこで『三国志』との比較のため、『博物志』原型の文章を探さないとなーって思っていましたが、果たして…